心と身体を見つめる学び ——「依存」をテーマにした特別講演を実施
2025/12/10(水)
高校1年生に対して、「依存」をテーマにした特別講演を実施しました。講師としてお招きしたのは、YMCAの関係者、久里浜医療センターの専門職の方、そして神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科作業療法専攻の先生です。心と身体の両面から「依存」と向き合う内容に、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。


久里浜医療センターによる「依存症」のお話
最初に登壇されたのは、久里浜医療センターの方です。テーマは「依存について」。
「推し活」「課金」「ソーシャルゲーム」「ライブ配信」など、今の高校生が日常的に関わる話題を交えながら、親しみやすい語り口で講演が進みました。生徒たちは身近な例に思わずうなずきながら、スマートフォンやSNSとの向き合い方を改めて考える時間となりました。

講師の方は、「依存症」と「依存行動」は異なるという点を丁寧に説明されました。
依存症は“依存行動”と、それによって生じる“問題”が重なったときに生じるもの。一方で、同じ「依存的な行動」であっても、スポーツ選手が競技に打ち込むように、社会的に良い結果を生む場合もあります。つまり「依存=悪」ではなく、どのようにその行動と付き合うかが重要であるという考え方です。

また、具体的なゲームのタイトルやSNSの使い方など、日常に密接した事例が多く紹介され、聞いている生徒たちの表情には「自分にも当てはまるかもしれない」という気づきが見られました。「気軽に楽しんでいるつもりでも、実は行動をコントロールできなくなっているかもしれない」。そんな自己理解への一歩となる講演でした。
神奈川県立保健福祉大学の先生による「身体のメンテナンス」講座
続いて登壇されたのは、神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科作業療法専攻の先生です。
こちらでは、「依存症が身体に与える影響」「身体を整えるためのメンテナンス体操」について、実践を交えながら学びました。

講演は「よい姿勢・悪い姿勢とは何か?」という問いかけから始まりました。実際に姿勢を変えてみることで、筋肉の使われ方や身体への影響を体感。さらに、日常生活で簡単に取り入れられるストレッチや体操を行いながら、心身のバランスを整える方法を学びました。
生徒たちは一緒に身体を動かしながら、身体を整えることが必要出ることを実感したようです。
講師の先生からは、作業療法という分野についての紹介もありました。作業療法は、病気やけがなどで生活に支障を抱えた人々に対し、日常動作や活動を通じて心身の回復を支援する医療職です。依存症の治療や社会復帰支援の場でも重要な役割を担っており、「人の“生活”を支える医療」という視点を学ぶ貴重な機会となりました。
心と身体の両面から考える「健康教育」
今回の講演は、単なる知識の習得にとどまらず、「自分自身の行動を見つめ直すきっかけ」「将来の進路を考えるヒント」にもなりました。
久里浜医療センターの講演で学んだ“心の健康”と、保健福祉大学の講座で体験した“身体の健康”。その両方を通じて、「依存」は誰にでも起こり得る身近な課題であり、正しい理解と支え合いが大切だということを実感できた時間となりました。

本校には、高校段階から看護医療分野を学ぶことができる「看護医療プログラム」があります。今回の講演は高校1年生全体に対してでしたが、その学びと深くつながる内容でもあります。医療や福祉の世界で人を支えたいと願う生徒にとって、現場の声やリアルな現状を直接聞くことは大きな刺激です。
そして何より、生徒一人ひとりが「自分の心と身体を大切にすること」から、将来の進路を考えることができる——そのような教育の土台を、今後も大切にしていきます。


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